デジタルカレンダー

フォトスタジオに於いて、スティルライフの対象となる被写体が商品その物であった場合、その広告画像は、しばしば「切り抜き」という方法によって掲載されます。それはキャッチフレーズや説明などのコピーとのからみ、あるいは他の写真パーツとの組み合わせ等を考えた場合、アイテム周囲に写っているもの(バックを含む)を消去して、商品のフォルムだけを活かしたいときなどに、この方法を採用するのです。この撮影に当たっては、「どうせ切り抜きなのだから」と安易に考え、いいかげんなライティングで臨むと、後々、収拾不可能な事態を招きかねません。そう言った意味からも切り抜き用撮影は、フォトスタジオでのブツ撮りの基本中の基本と言えるのではないでしょうか。

上記に掲載の写真を製作するに当たって、被写体となるのはユニークな形状の多機能デジタルカレンダーなのですが、このような立体物を描写する場合、一般的には正確にフォルムを表現するために、パースの調整に留意しなければなりません。そのため、レンズの焦点距離の選択には気を配ります。一般的には望遠系のレンズを使用して、被写体とカメラレンズとの間に距離を置き、歪の無い落ち着いた画像となるように撮影にあたっての方向性をきめるのですが、上記掲載例のように、突飛な形状をセールスのポイントとしている場合、その表現はむしろ広角系レンズを使うことにより実現します。如何に適度な歪を持った画像を、落ち着いた雰囲気で伝えることが出来るか、という一般的な観念とは逆の発想で作業にあたっての方向性を決めるのです。何気なくカタログ等に掲載されている切り抜き写真に於いて、思わぬ所で苦戦し、長時間のフォトスタジオ・ワークフローとなった画像の一例です。 このように映像描写というものは無数にある立体との対話であり、その対話の回数分がカメラマンのスキルとなって反映すると言えます。

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