焦点距離

フォトスタジオのワークフローの現場では、様々なレンズが用意されており、その用途に即した物を選んで使用するのですが、これに対する光学の分野には、焦点距離と呼ばれる概念があり、レンズの中心に入って来た光束が、結像地点までの距離のことを言います。そしてこれが長いものを望遠系と呼び、被写体は大きく写り遠近感が少なくなります。逆にその距離が短いほど広角系と呼ばれ、広い範囲で撮り込まれるので被写体は小さく写ります。この広角系レンズで望遠系レンズと同じ範囲を画像として描写しようとすると、当然、近づかなければならない訳ですから、被写体にある遠近の関係が崩れ、それが強調されることになります。例えば高層ビルを撮影するにあたって、望遠系レンズを用いると、実際に見るよりも低く写り、広角系レンズの場合は高く写るのはそういったことが原因しています。ではなぜそのビルが高く見えるのでしょうか?それは、手前に写ったビルの下層は大きく、上層は小さく写っているからと言えるでしょう。これはポートレート撮影をする場合に於いてヒントとなる点で、実は素人の方(特に男性の場合が多い)の撮影した女性ポートレートを見ると、実際よりも頭デッカチで短足になっていることが多いのですが、これは前述したことが原因しているのです。男性が女性を写す場合、自然と両者の声が聞こえやすい位置を選び(つまり近い所)、その距離に合わせた焦点距離で撮影してしまうのです。更に男性のほうが女性よりも身長が高い場合が多いため、見下ろして写すことになるので、結果として広角系レンズで頭の上からカメラを構えてしまうことになり、その結果前述しました高層ビルの例とは逆の現象が起こるのです。男性が女性を写す場合は、声が聞き取り難い程遠ざかり(ちなみに当社での全身撮影では、7メートル以上の距離をとってカメラを構えています。)、腰を下ろしてローアングルで撮影することが基本です。更に注意点を挙げますと、広角系によってローアングルで撮影に挑むと、足は長くは見えるのですが、人物ではビルの下層に当たる下半身が大きく写るので、特殊な効果を狙う時以外は妥当な方法とは言えません。以上、焦点距離に関して簡単な例を挙げて解説したのですが、スティルライフを描写するフォトスタジオの現場では、歪のない正確な立体物の表現には望遠系、逆に歪を持たせて静止立体物に動きを持たせたいケースには広角系を使用するなど、イメージしたものに合わせてその選択をしています。


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